
皆さんこんにちは!
アニメーターの井元一彰です。
今日のお話は「デジタル作画」で絵は上達するのか?です。
結論から申しますと、残念ながらデジタルのみで作画しても、作画技術は効率よく上達しません。
なぜなら「デジタル作画」で使用するペンや描画ソフトは所謂
「道具」に過ぎないからです。
絵の上手い人は、鉛筆でも、クレヨンでも、木炭でも、チョークでも、
なんでも「上手く」描けます。
絵の下手な人は、万年筆でも、油絵でも、なんでも「下手」です。
絵の巧拙(上手い下手)は、どういう風にものを捉えているか、
頭にあるものをどれだけ正確に再現できるかで決まります。
画材はただの「道具」です。
ただの「道具」なら一見するとデジタルでも、アナログでも変わらなさそうですが、
デジタル作画は使用するソフトによって
「描画補正」が効くというのが道具として一番の大きな違いです。
鉛筆で描く線がブレブレな人でも所謂「手ブレ補正」をかければ、滑らかな線を描く事がが出来ます。遠近法のパースもPCが正確に表示してくれます。
アニメーターの作画技術は精密に動かす場合、ミリ単位以下の鉛筆のコントロールを必要とされます。
デジタル作画の場合、普段「手ブレ補正」でごまかしている人が果たして
ミリ単位で線をコントロール出来るでしょうか?
遠近法をあまり分からずにパース線を引いている人に
「小さなマッチの箱」と「大きなビル」のパース(遠近感)を描き分けられるでしょうか?
一般の方々が思う「アニメーターをやれば画力が上がる!」というイメージは概ね正解です。
アニメーターは毎日鉛筆で紙に線を引き、常にパースを考え、立体的に作画するという事を繰り返し行う事によって短期間に画力を向上させる事が可能なのです。
もちろん「デジタル作画」だけでも上達はするとは思いますが
全て自分の力だけで描く「アナログ作画」と比べると
作画技術の向上という点では見劣りしてしまうと言わざるを得ません。
(....,少々宣伝にはなりますが(汗
「アトリエココ」では鉛筆での作画を重視して授業を行っていますので、「効率よく」作画技術を学ぶことが出来ます!)
かつて、石ころで洞窟の壁に絵を描いていた人間たちは、
現在に至るまでにインク、鉛筆、ipadと時代に合わせて道具を変化させてきましたが
人が自らの「手」を使って描く行為自体は大昔から変わりありません。
現代に生きる私達アニメーターも
使う道具は変わっても「手を使って何かを生み出す」という
人間が絵を描く上での根本的なことを忘れたくないものですね。
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